担当者インタビュー

未来を育む動物園 動物ファーストで多世代をつなぐ

神戸市立王子動物園:園長 加古裕二郎さん / 運営係長 宮路和宏さん / 飼育展示係長・獣医師 谷口祥介さん

世代の絆をつなぐ、動物園という場の魅力

園長 加古裕二郎さん

「人は一生のうちに3回動物園に行く」という言葉があります。幼い頃は親に手を引かれ、親になったらわが子と共に、そして孫を連れて――市街地の真ん中にあって交通アクセスが良い王子動物園は、まさにこの言葉のように、何世代にもわたる、神戸市民の憩いの空間です。20年以上にわたり愛されたジャイアントパンダの「タンタン」は残念ながら今年3月に病死してしまいましたが、1951年の開園以来73年の歴史の中で多くの親しまれた動物がいます。そして現在も119種類674頭の動物たちがのびのびと暮らしている場所なのです(2024年6月現在)。

しかし、歴史を積み重ねるにつれて、獣舎など施設の老朽化が目立ってきました。地域の子どもたちをはじめ、多くの方に気軽に利用されていることが、王子動物園の大きな魅力の一つです。今後も来園者が六甲の豊かな緑を感じながら、自然に囲まれた中でいきいきと過ごす動物を観察し、遊び、憩い、野生動物と人間が共存する環境に思いを馳せる場所であり続けるために、動物園全体のリニューアルが2045年を目標年次として長期計画で進められています。多世代にわたって楽しめる場としての役割を維持しつつ、時代に合った新しい形へアップデートしている最中なのです。

「動物サポーター」制度が未来を支えていく

運営係長 宮路和宏さん

動物園を取り巻く環境が変わりつつある中、2005年にスタートしたのが「動物サポーター」制度です。個人や法人から寄付を募り、動物たちの園舎整備やエサ代に充てる仕組みで、現在は約1600名の個人と約60社の法人がサポーターとして支えています。個人サポーターには園をより身近に感じて応援いただいており、法人からはSDGsや自然保護に貢献しようとする思いを感じます。CHINTAIも「社会貢献プロジェクト」を通して共鳴をいただき、積極的な支援に取り組んでいただけることを期待しています。

動物園には、「まもる」(種の保存や生物多様性の保全)、「まなぶ」(自然や環境教育)、「ふかめる」(動物の調査や研究)、「たのしむ」(誰もが楽しめる憩いの場)という4つの役割があります。さらに、リニューアルで「はぐくむ」という新たなキーワード――市民や地域、来園者と共に成長し、行動するという役割を意味するものです。CHINTAIとの連携を深めながら、園の活動やビジョンを広く発信することで皆さんにも動物園音ことをより深く知っていただき、動物園の役割を果たしていきたいですね。

動物ファーストで提供していく「環境教育」とは

飼育展示係長・獣医師 谷口祥介さん

私たちは希少種であるアムールトラの保全を目指し、世界中の動物園と協力して繁殖に取り組んでいます。希少種について分かっていないことが多いため、調査研究しながら繁殖を目指していますが、常に重視しているのが「動物福祉」という考えです。私たちは「動物ファースト」とも表現していますが、これは、例えば本来日本とは異なる気候に生息する動物にも適切な環境を整え、健康を管理し、できるだけ野生に近い行動を引き出すような、動物を最優先に考えていく価値観です。王子動物園はこのキーワードを大切に、子育て世代を含むすべての世代が楽しめる施設であり続けます。そして、動物保護や環境保全について理解を深め、環境に配慮した行動を考えていただく場としても機能していきます。求められるのは、CHINTAIのプロジェクトともつながる「環境教育」です。共創を通じて動物と人間が向き合い、持続可能で多様性のある自然を考える場を創っていければと考えています。

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